思い出深いドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』2つの結末

ドラマ

   

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『おカネの切れ目が恋の始まり』

思い出深いドラマの一つに『おカネの切れ目が恋のはじまり』がある。

 

 

2020年秋クールにTBS火曜22:00枠で放送された連続ドラマで、清貧女子・九鬼玲子(松岡茉優)と、お金にルーズな社長の御曹司・猿渡慶太(三浦春馬)、正反対の二人のラブコメディ

 

このドラマの撮影中であった2020年7月18日に、ヒロインの相手役を演じる三浦春馬さんが急逝された

思い返せば、2020年は新型コロナウイルスが日本でも流行し始めて、広く自粛が求められていた。芸能界でも、3月に志村けんさん、4月に岡江久美子さんがウイルス感染による肺炎で逝去されるなど、世間にも芸能界にも不安が広がり、皆がナーバスになっていたように思う。

三浦春馬さん急逝の一報には、自分自身も衝撃を受けたし、まだ放送開始前でもあり、放送見送りや別キャストでの撮り直しになるのではないかと思っていた。

なので、代役は立てず4話で完結するように脚本を書き直して放送することが決まった時には、驚いた。放送を望む視聴者、製作側の三浦春馬さんやこのドラマへの強い思いが、とても印象に残っている。

『おカネの切れ目が恋のはじまり』は、各々のキャラクターが魅力的で立っているし、クスっと笑えるシーンがあればジーンと胸打たれるシーンもあり、物語の展開も面白くて好き。そして、多くの人たちの思いを受けて、三浦春馬さんが最後に撮影したドラマが形として残ったこと。あの頃の、コロナ禍での非日常的な世間の空気感。いろんなことが詰まった思い出深いドラマとなっている。

 

 

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第1話~第3話のストーリー

※ネタバレを含みます

第1話「私たちは日々、お金に振り回されている」


第1話

   

鎌倉にある民宿を営む実家で、清く貧しく心静かに生きている九鬼玲子(松岡茉優)。勤務する玩具会社の御曹司で浪費家の猿渡慶太(三浦春馬)が、経理部に異動してきて玲子が教育係になる。なんやかんやで、親から突き放された慶太が玲子の実家の民宿に転がり込んでくる。慶太の諸々の「ほころび」が気になってしまう玲子。正反対の2人は、はじめは反発し合うが・・・

というラブコメのド定番設定でございます☺

2人の出会いや登場人物たちの人となりを描きつつ、営業部のエース・板垣純(北村匠海)が、実はお金に困っているのを誰にも相談できずに、会社の交通費を不正に請求して差額を得ていた話が展開される。玲子が他の人なら見過ごしそうな「ほころび」に気づいたことで、板垣も救われる。

 

板垣「人生ってなんなんすかね。一生、金のことで悩んで、振り回されて、死んでくんだ」
玲子「お金を嫌いにならないで下さい。きっとあると思います。ガッキーさんなりのお金との仲良くなり方が」

『おカネの切れ目が恋のはじまり』第1話

  

そして、最後に清貧女子であるはずの玲子が、長年片思いをしている相手・早乙女健(三浦翔平)には貢いでいることが判明!「早乙女さんの笑顔、プライスレス♡」って・・・笑

 

第2話「その恋、投資する価値アリですか?」


第2話

   

第2話は、恋愛とお金の話。

15年間、早乙女健(三浦翔平)に片思いし、清貧をモットーとしているはずなのに、ことあるごとに差し入れをしている九鬼玲子(松岡茉優)を見て「あれじゃホストに貢ぐガチの客」「あれだけ貢いでリターンはあったわけ?」と呆れる猿渡慶太(三浦春馬)。慶太は、ほぼ早乙女からのリターンなしの玲子を見かねて、玲子の恋が進むように背中を押す。

玲子と早乙女以外にも、板垣が同じ金銭感覚をもつ玲子に恋心を抱いたり、慶太の元カノ・聖徳まりあ(星蘭ひとみ)が、婚約者であるベンチャー事業の社長・山鹿眞一郎(梶裕貴)との結婚に迷いがあるものの、これまで費やしてきた時間やお金を考えて今さらなしにはできない、と悩んだり、といろんな恋とお金の話が盛り込まれた回です(結局まりあは山鹿と別れます)。

 

まりあ「バツイチで結婚願望ないって彼を、3年かかってやっとここまでこぎつけたの。26歳からの3年がどんなに貴重かわかる?」
玲子「それはコンコルド効果ですね。その投資が損失になることがわかっているのに投資を辞められない。これまで費やしたお金や、時間や、思いが、ただの浪費だったとは思いたくないから」

『おカネの切れ目が恋のはじまり』第2話

  

なんやかんやあって、早乙女に「玲子は俺にとって特別な人」とご飯に誘われて舞い上がる玲子。しかしラストで、板垣純(北村匠海)が、独身なはずの早乙女が息子と過ごす姿を目撃してビックリという展開。

  

第3話「恋の終わり。そして、はじまり」


第3話

  

第3話は、タイトルの通り九鬼玲子(松岡茉優)が早乙女健(三浦翔平)に失恋し、猿渡慶太(三浦春馬)との恋のはじまりを予感させる回。

早乙女とのデートに入念な準備をして挑む玲子。気合の入り過ぎている玲子を笑いつつ慶太もデートが上手くいくように応援する。慶太の腹違いの妹・鮫島ひかり(八木優希)がフリーマーケットに出した店で売られていた新しいイヤリングもお迎えし気分は上々。

尚、慶太はひかりを父親が外につくった義妹と思い込んでいるが、実は全くの勘違いということが我々視聴者には明かされる。ひかりも承知で妹設定に乗っかってる模様。

慶太には、元カノ・聖徳まりあ(星蘭ひとみ)が急接近してくるが、慶太は「利用されているだけ」と浮かない。

早乙女に息子がいることを玲子に言い出せず、慶太に相談する板垣純(北村匠海)。玲子を傷つけないためにどうしたらいいかと思案するが、結局、早乙女とのデート中に週刊誌の記者の突撃に遭い、早乙女が結婚していることを玲子も知るところとなる(尚、早乙女は公認会計士兼ファイナンシャルプランナーとしてテレビに出演もしている有名人)

独身と偽って女性ファンを得ていた早乙女は、世間からバッシングに遭い、とっくに心が離れてしまっていた妻から離婚を告げられる。別の男性と再婚する予定とのことで、息子にも冷たくされてしまう。早乙女は妻が週刊誌にリークしたのではないかと疑うが、信頼していた早乙女の秘書・牛島瑠璃(大友花恋)がネタ元であることが判明。瑠璃は、自分との食事会がスケジュール上「仕事」とされていて、玲子との食事が「プライベート」に分けられていたのが許せなかったそう。

悪い人ではないんだろうけど、なーんか早乙女って周囲にいる女性たちをかき回すのよね😑

傷心の早乙女に、ついに玲子はちゃんと告白をするが、フラれる。そして、雨の中ずぶ濡れになって家に帰って来た玲子は、ハサミを取り出すと縁側で髪を切り出す。そこへ帰宅した慶太が心配をしてあれこれと声をかけ、玲子は大泣きしてしまう。

玲子のことがほっとけず、一生懸命慰める慶太。

   

玲子「これからどう生きていけば・・・もうだめだ・・・立ち直れない・・・人生終わった・・・うううう」
慶太「これからだって。さよならしたならさ、きっと新しい、いい出会いがあるよ。ほら、こないだ、新しいイヤリングをお迎えしたみたいに」

『おカネの切れ目が恋のはじまり』第3話

   

そこに、稲妻が光り雷が落ちる。びっくりして思わず玲子を抱きしめる慶太。そこで、つい慶太は玲子にチュッっとキスをする。お互いに驚いて顔を見合わせる2人。

  

 

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第4話「過去への旅」

本来は、全8話で完結する予定でしたが、脚本を書き直した結果、最終話となった第4話。

猿渡慶太(三浦春馬)が登場するのは、キスの翌朝、布団の中であまり眠れなかった様子を表現した冒頭のシーンのみ。ここからあの状況下で、続きの物語をつくるのは、脚本家の方も、演じる役者さんたちも、撮影スタッフさんも、なかなか難しいことだったのではないでしょうか。慶太が不在でも、ドラマの主題を大切にしながら、結末まで辿り着いたことに、心動かされました。

 

最終話となった第4話


最終話

   

眠れずに朝を迎えた九鬼玲子(松岡茉優)と慶太。慶太は早朝から出かけ、代わりに食卓には猿渡のかわいがっているロボット‟猿彦”が。平静を装う玲子だが、慶太とのキスが気になり心ここにあらず。

第4話では、玲子がシンク下の壺に隠されていた10年分の現金書留の封筒を見つけたことをきっかけに、差出人である父に会いに伊豆まで出かける。慶太の分身的なロボットの猿彦を連れていき、あれこれ理由をつけてやってきた板垣純(北村匠海)も同行。

ここで玲子の口から、玲子が中学生の時に、父親が会社の金を横領して逮捕されたこと、好きなテニスもなんでもやらせてくれて、なんでも買ってもらっていた玲子は、自分があれもこれもと望んだから父親が罪を犯してしまったと自分を責めていたことが、語られる。会いたいけれど会うのが怖い玲子は、猿彦がきっかけで父親である百田保男(石丸幹二)と再会。土下座をして謝罪する父に、「お金はたくさんないけど、毎日幸せ」「もう大丈夫、これからお金は自分のために使って」と伝え、2人は和解する。

そして、玲子はやさしい慶太との日々を振り返り、自分が慶太を好きであることを自覚する。縁側でうたた寝をしたまま朝を迎えた玲子が目覚めると、玄関が開き、おそらくそこにいるであろう慶太に向けて玲子が微笑むのがラストシーンとなっている。

最終話では、各キャストから不在の慶太に向けての台詞が出てくるのですが、慶太を演じた三浦春馬さんへの言葉のようにも聞こえたのでした。

  

早乙女(三浦翔平)「・・・自由なやつだな」

『おカネの切れ目が恋のはじまり』第4話

慶太の父(草刈正雄)「あいつは、あいつのままでいい」

『おカネの切れ目が恋のはじまり』第4話

慶太の母(キムラ緑子)「ママはいつだって、慶ちゃんの一番のファンだからね」

『おカネの切れ目が恋のはじまり』第4話

板垣(北村匠海)「すぐにヘラッと笑って、ひょっこり帰ってきますから。だから・・・大丈夫ですよ」

『おカネの切れ目が恋のはじまり』第4話

玲子(松岡茉優)「猿渡さんは、いつもやさしかった」「正直、腹も立っていますよ。心配するじゃないですか」「どうしてか、寂しいみたいです。会いたい・・・みたいです」

『おカネの切れ目が恋のはじまり』第4話

  

本来予定されていた第4話

『おカネの切れ目が恋のはじまり』のシナリオブックに書かれた、本来予定されていた第4話にも触れてみたいと思います。

玲子が現金書留の封筒を見つけ、伊豆まで父に会いに行き和解する流れは同じだが、同行して玲子の過去の話を聞くのは板垣ではなく慶太。要所で玲子の思いに寄り添い、父との和解の後押しをする。

キスをしたことで、気まずくなった玲子と慶太。慶太は、板垣に相談をして「ファーストキスを付き合ってもいない猿みたいな男に奪われて玲子はショックを受けていると思う」と言われる。しかし玲子に「ファーストキスだったとしても俺は謝らない」と言い、2人は両思いになる。が、玲子は諸々すっとばして「猿渡さんと結婚しようと思う」と言い出し、慶太を怖がらせるという展開。

これ以外にも、玲子のことが好きな板垣と慶太を諦めきれないまりあが(主にまりあ)協力して2人の仲を邪魔しようとしたり、慶太のまりあの会社とのコラボ企画が通り、経理課と企画課を掛け持ちすることになったり。

 

元々のシナリオの結末

元々のシナリオには、続きの第5~8話があります。

大きな流れとしては、結婚に突き進む玲子とそれについていけない慶太。横槍を入れるまりあ、結婚に反対する慶太の母などもおり、結婚話がなくなりかける。が、結局は互いの思いを確かめ合い結婚することに。早乙女が今さらの告白を玲子にするが、当然断られるw

結婚に断固反対する慶太の母と理解を深めるため、一人で慶太の実家に住み始める玲子。はじめは煙たがっていた慶太の母も、少しずつ距離を縮めつつあったが、玲子の父が横領で逮捕されたことを知り、慶太の母は「犯罪者と家族にはなれない」と怒る。慶太に「金輪際母さんとは会わない」と勘当を告げられ、慶太を溺愛する母はショック。玲子は慶太と母に仲直りをしてもらうためのサプライズを計画し、2人は和解、慶太の母は玲子との結婚を許す

これでハッピーエンドかと思いきや、2人が働いている慶太の父が社長を務める会社に、粉飾決算疑惑が持ち上がる。板垣が気づき、会社の公認会計士となった早乙女に相談。玲子も経理課の社員たちと疑惑について調べる。結果、専務の鷹野が長年にわたり不正な会計処理を隠蔽してきたのではないか、ということに。慶太には言えない玲子。

玲子が社長である慶太の父に報告に行くと、実は社長が粉飾決算を指示していた、と明かされ、胸にしまっておいてほしいと頼まれる。ほころびを見逃せず、どうしたらいいかわからなくなり、玲子は退職届を置いて姿を消すが、慶太は玲子を探し出し、ある方法で会社のほころびを繕うことにする。

自宅で手づくりの結婚式をしたり、まだ浪費癖をみせる慶太に玲子が怒ったり、玲子の父が玲子の家にやってきたり、板垣とまりあがいい感じになったり、早乙女がスキャンダルをバネにぶっちゃけキャラとして復活したり・・・細かい見どころもたくさんあって、なんやかんやで大団円。

詳細が気になる方は、ぜひシナリオブックをご覧ください。

また違った慶太と玲子に出会うことができますよ💛

 

  

 

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