公開から2ヶ月ほど経過し、口コミからロングラン上演をしている映画「国宝」

今更ながら観に行ってみた
SNSやレビューでよく見る感想に「3時間があっという間」「時間を忘れる傑作」というものがあります。
実際に映画『国宝』を観てみて、確かに飽きはしませんでした。
でも、正直なところ、足腰はしっかりと3時間の重みを覚えていました…😂
今回はそんな“体感時間と心の時間のズレ”から感じたことを、少し整理して書き残したいと思います。
伝統の華やかさとその裏のしんどさ
『国宝』は歌舞伎という伝統芸能の世界を舞台に、愛と孤独、そして芸を極める覚悟を描いています。
主役の吉沢亮さんと横浜流星さんはもちろん美しく、衣装や所作、視線までもがほんと芸術的。

2人の女形は「美しい」の言葉しか出てこなかったね
お二人とも素顔もそれはそれは美しいことは存じていますが、それも含め、それだけでは語れない美しさです。
けれど、この映画がただの美しい世界を描いているわけではないことはすぐにわかります。
舞台の華やかさの裏には、想像以上に厳しい修練と犠牲がありました。
「ここまでする必要があるのか?」と感じるほどのストイックさ。
一つのことを極めるためには、多くの時間や感情を切り捨てざるをえない。
その孤独は、覚悟の代償なのだと痛感。

歌舞伎界の方には、ごめんなさいだけど、伝統とか文化とか大きいものを背負ってるんだろうけど、それも狭い世界の価値観だよな、外野から見ると変わった世界だなとも思った
3時間の体感時間と謎の引力
多くの人が「3時間があっという間」と言うのもわかります。
私も中だるみや飽きは感じませんでした。
しかし、肉体的には3時間の重みを確実に感じました。
映画館の中で何度か時計をチラ見したのも事実です。
それでも物語から視線は離せなかった。
この映画が持つ不思議な“引きつけ力”はどこから来るのか。
正直、今も言語化しきれません。
舞台裏のリアルと惜しい点
歌舞伎の舞台裏が描かれているのも興味深かったです。
華やかな化粧や衣装の裏には、汗と葛藤が隠れている。その対比が作品に深みを与えていました。
「女性陣視点で楽しめた」という意見も聞いたけれど、正直なところ、映画化にあたり端折られている部分もあるのか、高畑充希さん演じる春江、森七菜さん演じる彰子、見上愛さん演じる藤駒の心情が細やかに拾えず、唐突な展開に感じてしまうところもありました。
少し荒さを感じる部分もあったのは、正直なところ惜しいところです。

女優さんたちの和装はそれぞれに魅力的で素敵でした
芸だけじゃない、あらゆる人の人生に通ずる物語
そして、この映画のメッセージは、芸能の世界に限った話ではないと思います。
みじめでも、自尊心がずたずたでも、「やり続けるしかない」という覚悟は、私たち一般の人々の人生にも通ずるものがあるように感じました。
生きていればいろいろなことがある。上り坂も下り坂も。
それでも「生き続けるしかない」という覚悟。
それぞれが自分の舞台で立ち続けている。
「国宝」はそんなすべての人にも共通する物語でもあるのだと感じました。