毎年話題を呼ぶ「関ジャム完全燃SHOW」の人気企画「プロが選ぶマイベスト10曲」
いしわたり淳治さん、蔦谷好位置さん、佐藤千亜妃さんが選ぶ2022年の10曲を、コメントとともに全曲紹介します
いしわたり淳治さんのベスト10
1 | 「エジソン」水曜日のカンパネラ |
2 | 「恋だろ」wacci |
3 | 「ファジーサマー」Lucky Kilimanjaro |
4 | 「PAKU」asmi |
5 | 「考え中」YONA YONA WEEKENDERS |
6 | 「辛」今市隆二 |
7 | 「Have a nice day」imase |
8 | 「ショック!」サカナクション |
9 | 「i.d.m.」idom |
10 | 「Overdose」なとり |
No.1「エジソン」水曜日のカンパネラ
音楽は何かをしながらカジュアルに聴く所謂「ながら聴き」の機会が増えた気がします。普段の何でもない時間を、何でもなく彩るような、カジュアルで軽やかな音楽のニーズが高まっているような気がしていて、2022年、一番軽やかに鳴り響いたのは、この歌だったのでは・・・と思います。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.2「恋だろ」wacci
「性別や年齢や年収など、何もかも関係ないのが恋だ」と歌うこの歌は、恋に興味がない若者が増えていると言われる昨今の「恋をしない理由」に真っ向から挑むとても勇敢な歌に聴こえます。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.3「ファジーサマー」Lucky Kilimanjaro
文学的な佇まいの言葉がものすごく心地良い。歌詞を深読みしてみても、ただ音として口ずさんでみても、純粋に格好良い日本語だなと感じます。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.4「PAKU」asmi
私たちの生活の中にも「パクッとしたい」瞬間はあります。TikTokのようなSNSが流行して以降、まだ歌になっていない「動作」を歌にすることも新しいキャッチーを生み出す上での1要素に。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.5「考え中」YONA YONA WEEKENDERS
実際の私たちの暮らしは、ハッキリと答えを出せないことで溢れています。「いま私は考え中」と前向きに言い切る歌があった方が、何倍も機能的なのかもしれない。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.6「辛」今市隆二
今はLINEなど短いメッセージが主流なので、突然留守電もなく着信履歴だけが残っているのは、若い世代には緊急事態を感じさせる。それをモチーフにして着信に気づかなかったことを悔やむ歌というのは、とても今っぽい新しい視点だと思います。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.7「Have a nice day」imase
いち音楽リスナーだった若者が、2020年に楽器を始め、2021年に作曲を始めて、その年末にはメジャーレーベルと契約。TikTokではオリジナル曲の総再生回数が12億回を超えた。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.8「ショック!」サカナクション
何かショックを受けた時に、この歌を口ずさめばちょっとくらいの悲しみなら中和してくれそうな力がこのコミカルなサビにはあって素敵です。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.9「i.d.m」idom
歌詞のないイントロ「La la la la」を聴いた瞬間「これ誰」と胸が騒ぎました。「La la la la」はサビの歌メロなのだけれど、イントロだけは歌詞をなくす引き算によって、曲にインパクトと人懐っこさが出てスッと耳に入って来る。メロディーセンスが素晴らしい。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
No.10「Overdose」なとり
まだ謎の多いアーティストですが、メロディーと言葉に勘の良さを感じます。日本のポップ音楽の「新しい王道」を颯爽と駆け抜けるような抜けの良さが素敵です。
いしわたり淳治「関ジャム完全燃SHOW」
蔦谷好位置さんのベスト10
1 | 「紫陽花」PEOPLE1 |
2 | 「灯台」Bialystocks |
3 | 「PAKU」asmi |
4 | 「Habit」SEKAI NO OWARI |
5 | 「青二才」和ぬか |
6 | 「KICK BACK」米津玄師 |
7 | 「MERA MERA」Mori Calliope |
8 | 「tokyo feat.鈴木真海子,Skaai」yonawo |
9 | 「エジソン」水曜日のカンパネラ |
10 | 「Escape(feat.mimiko)」和久井沙良 |
No.1「紫陽花」PEOPLE1
どの曲を選ぶか迷うほど素晴らしい作品だらけのPEOPLE1の2022年でしたが、その中でも一番多く聴いたこの曲を選びました。少なくとも200回が聴いたと思います。美しいメロディー、限られた音数、歌詞で説明しきらない奥行き、圧巻の歌唱・・・全てに感嘆した一曲です。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.2「灯台」Bialystocks
映画監督でもあるVo.甫木元の抽象的で映像的な歌詞と、ジャズのバックボーンがある菊池の見事な作曲編曲能力が結実した傑作です。永劫に続いていくかの如く、メロディーが高揚していくラストは圧巻です。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.3「PAKU」asmi
2022年最も中毒性の高い曲だったと思います。(作曲の)meiyoの、循環コードの中、メロディーだけ転調したような瞬間を作るなど、違和感と心地良さの絶妙なラインを往来する作曲技術が非常に高いです。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.4「Habit」SEKAI NO OWARI
一聴して耳に残るギターリフ、歌詞、メロディーとその歌唱、そしてMV・・・その時代を切ち取り、さらに自分たちの視点で新たな提示が出来るのが、セカオワというスーパープロデューサー集団です。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.5「青二才」和ぬか
SNSでのヒットの要素には、歌詞や中毒性のあるサウンドなど様々ありますが、その中でもペンタトニックスケールで構成されたメロディーも常に大きなポイントの一つです。アルバムを通して、ペンタトニックが駆使されプロデューサー100回嘔吐によるサウンドと共に強烈な個性として楽曲の統一感を出しています。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.6「KICK BACK」米津玄師
米津玄師と常田大希というとんでもないコラボによる王者の風格さえ漂う強力な曲です。一聴して絶対に覚えられない目まぐるしい転調の展開と「全部無茶苦茶にしたい」という歌詞が象徴するような咆哮に近い強烈な米津の歌唱。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.7「MERA MERA」Mori Calliope
エミネム顔負けの高速フロウを聴かせたと思いきや、J-POPらしいキュートな声で歌唱するなど、凄まじくハイレベルな表現技術を惜しみなく披露しています。プロデューサーのGigaによるトラックが最高で、Mori Calliopeの音楽性と可能性を最大限に引き出していると思います。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.8「tokyo feat.鈴木真海子,Skaai」yonawo
削ぎ落した音数で、隙間とグルーヴを感じさせられるループを作り、さらに美しいメロディーと耳に残る言葉選びと遊び、それをバンドでやっているのが最高です。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.9「エジソン」水曜日のカンパネラ
日本でボーカリストが変わって成功する例はごく稀ですが、その至難の業を水曜日のカンパネラは成し遂げました。Dir.Fの慧眼、ボーカリスト詩羽の度胸と覚悟、そしてケンモチヒデフミの才能が爆発しています。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
No.10「Escape(feat.mimiko)」和久井沙良
知性とパッションを兼ね備えながら、非常に歌心のある楽曲とピアノ。ソロの中にもキャッチーさが見えてくるのは、彼女がポップスのフィールドとも密接に関わっていることも、少なからずあるでしょう。新たな世代のジャンルを超える存在として、今後の活躍が期待されます。
蔦谷好位置「関ジャム完全燃SHOW」
佐藤千亜妃さんのベスト10
1 | 「ELEVEN」IVE |
2 | 「ミックスナッツ」Official髭男dism |
3 | 「美人」ちゃんみな |
4 | 「VENOM」Staray Kids |
5 | 「エジソン」水曜日のカンパネラ |
6 | 「WA DA DA」Kep1er |
7 | 「お茶」UA |
8 | 「POP!」NAYEON |
9 | 「太陽」a子 |
10 | 「BYE BYE」chilldspot |
No.1「ELEVEN」IVE
エスニックなテイストも魅力的で、飽きさせない楽曲構成とメロディーに感服。中でも衝撃的だったのが、サビ前2小節の大胆なテンポチェンジ。サビの起爆力に繋がっているという意味で、ただ奇をてらっているのではなく、機能としてもめちゃくちゃ理にかなっているアレンジ。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.2「ミックスナッツ」Official髭男dism
遊びのあるリズムと、こんなに速い疾走感の中でも、歌い上げながら駆け抜ける藤原さんの圧巻の歌唱力。ヒゲダンのオシャレなイメージと違い「こんなことも出来ちゃうんだ」と新たなスゴさが見えた曲です。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.3「美人」ちゃんみな
ルッキズム的な批判を経験したちゃんみなさんだからこそ書ける曲。この悲痛な感じは、誰からも好かれる聴き心地の良い曲ではないリスクを知りながら、さらけ出し、表現として勇気を出して書いたのでは・・・と思うと胸が熱くなりました。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.4「VENOM」Staray Kids
2022年にリリースしたアルバムが、米ビルボードのアルバムチャートで1位を獲得するなど、一躍K-POPを代表する存在となったグループ。イントロから惹きつけられるトラックが、耳から離れなくなる一曲。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.5「エジソン」水曜日のカンパネラ
リズム・歌のメロディー・歌詞に中毒性があり癖になる曲。前任のコムアイさんと比べることすら忘れさせてしまうくらい自立したボーカリゼーション。繊細さと逞しさのハイブリッド。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.6「WA DA DA」Kep1er
切取り部分を変えて聴いたら全く別の曲に聴こえそうなバリエーションに富んだ展開。数曲分のアイディアを我儘に全て詰め込んだかのような大胆不敵さ。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.7「お茶」UA
逆再生のサンプリングから始まるかっこいいイントロ。サウンドは抜け目ないのに、タイトルが「お茶」ズルいです。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.8「POP!」NAYEON
突き抜けたポップネスで、ひたすらワクワクさせてくれる楽曲。確かな歌唱力を、ポップな方向に落とし込むことで、気軽に再生ボタンを押したくなる親しみやすい魅力に繋がっている。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.9「太陽」a子
たまたまTwitterでライブ映像が流れてきて、どんどんハマっていったアーティスト。懐かしくなるサウンドと耳元で囁かれているようなウィスパーボイスが心地良い。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」
No.10「BYE BYE」chilldspot
ポップさの中に隠したほんの少しのヒリつきがたまらない。大人のフリした子どものような、子どものフリした子どものような、底の知れないポップネス。今、一番気になるバンド。
佐藤千亜妃「関ジャム完全燃SHOW」