「この子は邪悪」ネタバレ感想 怖いよりも四井純がやるせないんだが

映画

  

9月1日から公開されている映画「この子は邪悪」

早速、観にいってきました!

 

  

予告観た時から、不穏な空気感が好みで

どんなサスペンスだ?ホラー要素もあるのか?

と楽しみにしていました

 

平日の18時台開始の回でしたが

観客の年代は高校生から60代くらいまで

男女比も半々くらい

まさに幅広い層が観にきている印象

  

追加情報

2022年12月1日から、アマゾンプライムビデオで配信開始
 


アマゾンプライムビデオ「この子は邪悪」
追加情報

2023年3月3日に、Blu-ray&DVD発売
 

  

 

 

スポンサーリンク

観終えた直後の心の声(ネタバレなし)

サスペンスとして純粋に推理を楽しんだり

後半の怒涛の展開におーってなったり

いろいろ楽しめるポイントはあるのですが

  

観終えた直後の心の声は

 

「恐怖よりもモヤモヤが上回るんだが!」

 

「四井純がやるせなさすぎてクライマックスすら脱力なんだが!」

 

いや、自分の見方もなかなか偏ってるなとは思いますが

四井純視点で観ちゃうとねぇ、もうやるせなさすぎて・・・

終盤の窪一家のクライマックスは、脱力しながらスクリーンに心の中でぼやいてましたw

あ、クライマックスがつまらなかった、という意味じゃなくて

むしろ、おもしろいんです

なんですけど、何とも言えないこの感情! 

  

  

スポンサーリンク

あらすじ

かつて一家で交通事故に遭い、心に傷を負った少女・窪花(南沙良)。心理療法室を営む父・司朗(玉木宏)は脚に障害が残り、母・繭子(桜井ユキ)は植物状態に、妹・月(渡辺さくら)は顔に火傷を負った。

そんな花のもとに、自分の母の奇病の原因を探る少年・四井純(大西流星)が訪れる。やがて花と純は心を通わせていくが、ある日突然、司朗が5年ぶりに目を覚ました繭子を連れて家に帰って来る。司朗は‟奇跡が起きた”と久々の家族だんらんを喜ぶが、花は‟あの人はお母さんじゃない”と違和感を覚える。

その時、街では謎の奇病が広がっていた・・・。

「この子は邪悪」公式HP

   

   

スポンサーリンク

キャスト

南沙良(窪花・役)

   

なにわ男子・大西流星(四井純・役)

  

桜井ユキ(窪繭子・役)

  

玉木宏(窪司朗・役)

  

  

鑑賞レビュー(ネタバレあり)

  

ここからはネタバレありの感想になります

これから作品を鑑賞予定の方はお気をつけください

 

  

  

物語の設定・導入

舞台は、山梨県甲府市

  

余談①
舞台が地元でちょっとテンションあがる
余談②
舞台なのに山梨では「この子が邪悪」は観られない(9/1現在)

  

登場人物が、みんなどこか古めかしい家に住んでるんですよね

時代設定は今でいいんだよね?

物語の世界観を表現するためかな?

   

ベランダの柵を舐めたり

プール(だったかな?)の水を飲んだり

かなり様子のおかしい人々

それを調べている四井純(なにわ男子・大西流星)の描写からスタート

 

四井純は、奇病の母と祖母と暮らしている

介護用のオムツ買って帰ってくる四井純

「ただいまー」って「また母さんと同じような人見つけた」って言っても、母も祖母も無言

(母は喋れなくて、祖母は無口)

母は床に座り込んで、虚な目をして動かない

   

つ、つらい・・・
このシーンだけで、四井純の日常がイメージできる

  

窪花(南沙良)は、催眠療法がメインの心理療法室を営む父・窪司朗(玉木宏四六時中仮面つけてる妹・月(渡辺さくら)と暮らしている。母は意識不明のまま入院中。

5年前に一家全員で交通事故に遭い、花以外の家族は何かしらの被害を被った。花の希望で出かけた先からの帰り道での事故だったため、花は自分を責めて心に傷を負い学校にも行っていない。

 

妹・月の仮面設定
食事は、片手で仮面を浮かせてサッと食べ物を口に運んでてw もう家族の前ではとりなさいよ、汁物はどうすんのよ、歯磨きとか洗顔とかどうやってるのよ、あとやたらに仮面のバリエーションあるじゃない、仮面コーデ?おしゃれさん!とか、余計なことばっか気になった

 

そして、窪家の母・繭子(桜井ユキ)が5年ぶりに意識を取り戻し帰ってくる

違和感と戸惑いを隠せない花

しかし、自分と母としか知らないエピソードを母が知っていたり、料理が母の味つけだったり、疑いつつも、次第に繭子を母親として受け入れてもいく

 

いやいや、母と顔違うじゃん!
そりゃ違和感しかないでしょ!

父「整形もしたからね」ってサラっと説明してたけど納得いかんよ?
え?母の入院中お見舞いとか行ってないわけ?

・・・・・・いやいや、こんなこと思うのは野暮ってもんよね

世界観を楽しみましょう!

 

窪の心理療法室に、やたらとウサギがいるのが奇妙

一匹ずつゲージに入ってて

一匹のウサギが逃げ出し、花が探しにいったところで、ウサギに懐かれる純と対面

 

このウサギが純の母だったとはね・・・この時は思いもしなかったわ・・・

  

そして純が花に「友達になってくれない?」

と言い、2人は友達になります

  

序盤は、四井純を邪悪な子候補だと思ってた
人んち張り込んで写真とか隠し撮ってるし
表情ないしちょこっと猫背な感じとかが
「友達になってくれない」も、コワ!って

ママチャリ乗ってるのをみて
「これが流星くんのチャリ練習の成果かー」
「いやママチャリってかわいいんだが」
とか思う余裕もあったり

  

中盤・謎が少しずつ明らかに

親しくなった花と純は、花が家族に対して抱いている違和感について調べ出します

実は、妹の月は亡くなっているらしいことがわかったり

母・繭子の妊娠が判明したり

純の母が昔、司朗の患者だったり(カルテでは、強迫性障害にパニック障害に若年性認知症)

怪しんでいる純が司朗に催眠かけられてコロっと都合よく洗脳されたり(後にこの催眠はとける)

諸々ありつつ

最終的に

花の母・繭子は別人、妹・月も別人純の母や街の様子がおかしい人々は司朗によってそうさせられたのではないか、という結論に達します

そして

司朗にそれを突きつける純(危険フラグ)

 

司朗は、子どもに虐待する親たちに催眠をかけることで子どもたちを守ってきた、純も母から虐待を受けていて守るために母に催眠治療を施した、と言います

声を荒げて司朗につかみかかる純

「花も自分の家族をおかしいと疑っている」ことを司朗に言ってしまいます

その結果・・・

約束の時間になっても現れない純を心配して純の家にやってきた花

祖母が「純のことを何か知っているのか」と「窪」と名乗った花を家の中に通す

そこには

母と同じく、うつろな表情の純が・・・もちろん意思疎通は図れません・・・

 

司朗やりおったなー!
純は悪いことしてないのに不憫すぎる

白い顔して
赤い目して
水槽眺めて
ビクっと花をみる純

もう一度言おう
司朗やりおったなーー怒!

  

終盤・怒涛の衝撃展開

変わり果てた純をみた花が父に凸!

家族4人が集まってクライマックスシーン

 

虐待する親に催眠治療(こんなの治療じゃないけどね)を施していたという司朗が実際に、何をしてたかがわかります。

「虐待する親とウサギの魂を入れ替えてた」

純の母はウサギになってました

そして純にも同じことをした

「そのウサギは純くんだ」

花のもとへピョンピョンと跳ねていく黒ウサギ・・・

 

いやもうね、自分の中のクライマックスは

四井純、黒ウサギになる!

これ一択

ウサギになる催眠かけて廃人化させてるのかな?
とか思ってたんだけど
ノンノン
ウサギと人間の魂入れ替えてるんだって
催眠超えて、もはやファンタジー

 

そして、交通事故によって家族を失いかけた時

「はじめて人間と人間の魂を入れ替えた」

亡くなった本物の月の魂と、父から虐待を受けていた少女の魂を入れ替えて、少女を月として育てた

意識不明の妻の魂と、クライエントとしてやってきた女性の魂を入れ替えて、本当の妻の肉体は死亡させクライエントの女性を妻として迎え入れた

「器は変わったが魂は同じだから、月は月だし、母は母」

と花に説明をする司朗

「家族を守るためなら何をしてもいいの?」と尋ねる花に

「そうだ」と言う司朗 

  

魂入れ替わる系の話は他にもあるけど
何をもって「その人だ」と定義するかは
難しい問い
ではあるよね 

 

そこに

そーっと入ってくる純の祖母

司朗を大きな石で殴って「純~」「理紗~(純の母の名前)」とウサギにかけよります

 

祖母~
無口で表情が乏しいから
わかりにくかったけど
娘のことも孫のことも愛していたのね
ウサギにされた話
聞いちゃったのね

 

が!

司朗が反撃

石で殴り返して失神させ

馬乗りになって更に石を何度も顔に振り下ろし

もう息絶えているだろう祖母を

さらにボッコボコに殴る

 

直接描写はありませんでしたが

残虐な方法で純の祖母を亡き者にしました・・・

 

そして妹・月が「もうやだ」とナイフで父を刺す

自分自身のことも刺そうとした月を

花が制し

「私が月を守る」と言います

 

なんと
父に対して決定的な行動をとったのは
花ではなくて月でした

そして
外見が変わっていても
長年共に過ごしてきた姉妹愛がそこに

 

刺された父は

自分が純の祖母を殺害した後に自殺したと警察には言うように言い残し

「自分が間違っていたのか?」

と言いながら

妻の繭子に抱きしめられながら看取られます

 

そして

その時

自分に催眠をかけて、自分の魂とお腹の中の胎児の魂を入れ替えます

  

「間違ってたのか?」
とか反省におわせながら

またやらかしましたわ!


いやはや

セルフ催眠のスキルもお持ちとは

 

時が経ち

庭で母のつくったスイーツを食べている

花、妹の月、母の繭子、そして生まれてきた男の赤ちゃん

「幸せになろうね」と月に声をかける花

そしてゆりかごの中で、催眠をかける時の指の動きをする赤ちゃんがラストカット

で「この子は邪悪」の文字

邪悪な子は、司朗の魂入った赤ちゃんってことでよい?

 

おいおい、窪家よ
幸せ目指して新しい家族でがんばります
じゃないのよ!


純くん一家の悲劇
まさか忘れてないよね?

司朗の魂が赤ちゃんに入って・・・
ってとこが衝撃ラストなんだけど
もうさ
ちょいちょい魂入れ替えちゃってるから
またかよーみたいな

死んでないなら
純くんと黒ウサギの魂
さっさと元に戻してくださいます?

としか・・・

  

 

四井純について語る

最初に書いた「この子は邪悪」を観終えた直後の心の声

「恐怖よりもモヤモヤが上回るんだが!」

「四井純がやるせなさすぎてクライマックスすら脱力なんだが!」

でした

  

改めて四井純について考えると

  • 生まれた時から父親がいない
  • 母から虐待を受けていた
  • 母をウサギにされてからは祖母と母の面倒をみていた
  • 真実を追求しようとしたらウサギにされた
  • ウサギになった自分の目の前で祖母を殺害された
  • 時が過ぎて、花にも忘れられている?

 

救いようなくやるせなさすぎない?

  

純の人生考えたら

心が痛くて

黒ウサギが跳ねてるのみて

ただただ脱力した

 

純を演じる大西流星くんが

かわいらしい容姿をしている分

余計に孤独とかやるせなさが際立つ

四井一家は、みんな感情を表現するのが苦手

純も

表情が乏しかったり

話し方がモノトーンだったり

大人しくて抑えめだった純が

ついに自分の感情を激しく表に出した時

・・・ウサギにされるのよ

その無力感たるや・・・

  

クライマックスの窪家のあれこれも 

もうね

怖さや衝撃よりもモヤモヤが上回っちゃって

 

花が月を「守る」と言っても

「巻き込まれた純も守ったれや」

胎児との魂の入れ替えも

「またやりおったな」

時が経ち、いろいろあったけど幸せになろう、とかも

「・・・は?」

 

ってなっちゃって

  

窪家は家族での回想シーン(ピアノとかメリーゴーランドとか)もあるんだけど、あんまり家族の歴史とか関係性とかが奥行きをもってイメージできなかったんだよね。

あとは、自分が司朗に近い仕事をしているから、いろんなことが「ありえないでしょ」って目につきすぎちゃって、司朗に自分を重ねたり入り込んだりできなかったのもある。

大切な家族を失ったら催眠で魂入れ替えちゃうかも?って全然思えなかったもんな。

あ!でも玉木宏さんの正常と異常のグラデーションや家族愛を謳いながらとことん自己愛な感じの演技には、おーってなった

虐待から子どもを守るっていうのも、相手の立場になって寄り添って守るんじゃなくて、自分の考えややり方は正しいのだからっていう相手不在な自己中心的な治療っぷりが、笑顔の裏によく描けてる。そう考えると、司朗は交通事故に遭う前から、そういう側面を持ち合わせていたのではなかろうか

 

そういえば、流星くんがラジオ「ディア・フレンズ」

「全体的には愛がテーマ」って言っていて

 

 

確かに、親子愛や姉妹愛やいろいろあって

司朗の自己愛もめっちゃ描かれてるなって

 

話がそれました

 

対して四井家は、暮らしぶりや家族同士が同じ空間にいる時の空気感や間合い、役者さんの演技から、日々の生活とか、純が生まれる前の祖母と母の関係とか、純がどう育ってきたかとか、描かれていない余白のイメージがもちやすかった

だから、俄然、四井純の目線で物語をみちゃうんだよねー

 

大西流星くんのお芝居、よかった!

はじめは少し何者?感もあり

純の生い立ちも演技に反映されていたし

正当性というかまっすぐなところも伝わったし

昨年夏に撮影されたとのことだけど

今よりずっとあどけなさが残っていて

「少年」と表現される役に合ってる

  

だからこそ

だからこそなのよ

  

救いないじゃん・・・って

観ているこちらも無力感を覚えて脱力するという・・・

   

最後に

純ウサギと母ウサギが

ピョンピョン四井家に帰っていったけど

あれが救いとは思えないし

  

あれ?そういや純と母の本体どこいった?

 

 

 

コメント